顔面神経麻痺へマッサージの手技や表情筋トレーニングにバイオフィードバックなど
末梢性顔面神経麻痺は多くの場合において予後良好で自然治癒の期待できる疾患です。
リハビリのマッサージを行う目的は 筋萎縮の防止及び、最も厄介な後遺症である病的共同運動の防止です。
マッサージを行う事により表情筋の血流 を改善し新陳代謝を促進する事により治癒効果を高めます。
保険医療機関における診断において、比較的軽症で予後の心配がない場合はリハビリは不要です。
通常、初期
には蒸しタオルを用いて顔を温め血行の改善ならびに精神的なストレスの緩和が目的であり、麻痺をきたすと治療が長期化する場合
が殆どであります。
また、外観上の問題も含めQOLの低下をきたします。
この精神的なストレスは他者から想像する以上で、これは顔面神経核の興奮も助長し回復の妨げとなる可能性もいなめませんので、精神的なストレスを少しでも緩和させる事は有益です。
急性期のリハビリマッサージ
※表情筋の伸張マッサージを頻繁にする。
※強く大きな顔面の動きを避ける。
急性期から顔面のマッサージは重要になります。
初期からマッサージストレッチングにより神経の混線を予防できる可能性が高くなります。
この効果は病的共同運動が出るまで、つまり、この効果は発症から3か月目位までと考えられます。
何故急性期からのマッサージストレッチが大切かは、口周りや目の周りなどは日常生活で頻繁に動かすのに比べ、それ以外の部位は動くことはありません。
この差異をなくす上でも初期より頻繁なマッサージが必要となります。
マッサージは頻繁に行い、これは片側だけでなく両側も行います。注意点は決して頑張りすぎず強くやりすぎてはいけません。強く刺激しすぎる事は逆に病的共同運動を助長する可能性もあります。
慢性期のリハビリマッサージ(4ヶ月以降)
顔面の強い動きを避ける。
マッサージストレッチングを頻繁に行う。
こわばりが残っている際は、マッサージ不足です。麻痺のある側の口角の外側上方への引きつれに対しては、麻痺のない側の口角を引っ張り唇の位置が真ん中になる(左右対称)ように訓練していく。
※(表情筋)リハビリマッサージの手技説明(指圧)
下記図にある、表情筋の走行に沿って行います。
急性期は表情筋を縦横、そして円を描くように全方向にマッサージします。
まずは、親指もしくは、示指と中指、示指・中指・薬指、いずれかを用いて指圧していきます。
ゆっくり押していく感じでかまいません。手技をする際は、頑張りすぎず、軽快で柔和に行う事を心掛けてください。
(左右対称に行います。)
※(表情筋)リハビリマッサージの手技説明(捻揉法)
左記図にある、表情筋の走行に沿って行います。
まずは、親指もしくは、示指と中指、示指と中指・薬指、中指と薬指いずれかを用いて筋肉をもみほぐすように捻揉していきます。(下記図)
ゆっくり捻揉していく感じでかまいません。
手技をする際は、頑張りすぎず、軽快で柔和に行う事を心掛けてください。
(左右対称に行います。)
口を閉じようとすると、目も閉じようとしてしまうなどの顔面神経麻痺の後遺症である病的共同運動が出現すれば、治癒は困難になります。
このような症状があれば、少しでも病的共同運動を目立たなくするうえでリハビリマッサージも短縮した筋を伸張するため短時間に繰り返して行い、筋短縮を軽減する。
口を大きくあけたり、強く目を閉じたりするような筋力運動は控えなければなりません。
鏡をみながら筋力トレーニング・バイオフィードバック
病的共同運動が見られたら、表情筋力トレーニングを実施する際に、鏡をみながら、口を閉じたり、頬をふくらませたり、口をへの字にしたり、目を閉じる動作が個別に行えるように、慎重に焦らず、ゆっくりと神経再教育訓練していきます。これも、1日2~3回程度行って下さい、評価方法は数種類存在しますので、事後は簡易的でありますが、参考程度には出来ます
その他の
筋電図を用い表情筋のトレーニングを行う方法や、病的共同運動の治療に筋肉切除や神経枝切除術、ボツリヌストキシンを用いた注射なども 登場しておりますので、詳細は専門の医療機関にご相談下さい。