末梢性と中枢性にわかれ、その症状も違います

表情(笑ったり、泣いたり、怒ったり、ふくれたりなど)を表す筋肉が顔面表部にある表情筋と言はれるものでありますが、 この表情筋に脳から指令を送る神経が、何らかの原因で傷害され、顔を動かすための筋肉へ指令が正常に伝わらない状態であります。

表情を作るための連絡が途絶えると、通常片側の顔面に異変が生じます。目を閉じにくなったり、涙がこぼれやすくなったり、頬がたれさがってきたり、笑っても麻痺側の 口角があがらなかったり、鼻唇溝が浅くなったり、飲み物を飲むとこぼれたり、食事をすると麻痺のある側に食べ物が溜まりやすくなったりします。

前兆としては、風邪と似たような症状がでたり、喉のあたりの違和感があったり、耳周りが痛んだりする症状の場合が一般的でありますが、まえぶれなく 発症する事も珍しくありません。

中枢性と末梢性の分別は、脳(中枢神経系内)での障害でおこるものと、顔面神経が脳幹(橋)からでた後の障害 によって生じるものかによりわけられます。

顔面神経は内耳神経とともに内耳道を経て、顔面神経管(骨の中)に入ります、その枝分かれし、涙泉・鼻・口蓋泉に分布し、その後、アブミ骨筋神経(聴覚をつかさどる。鼓膜を弛緩させる作用)、次いで舌の前三分の二の味覚を支配する神経、舌下腺・顎下腺に分布して、骨の中を出た後、表情筋に分布します。

舌下腺と顎下腺の分泌低下・味覚障害・聴覚異常・涙分泌低下(乾燥)などの症状を含む典型的な疾患をbell麻痺と呼びます。

脳幹

中枢神経内で発症したものが中枢性麻痺であり、橋(脳幹)から出た後の顔面神経の障害によって発症するものが 末梢性とされています。顔面神経核は橋下部に存在して、前頭部や眼輪筋を支配する核は大脳からの両側支配を受けている。

したがって、中枢性の場合は額(ひたい)の皺寄せが可能であるとされるが、末梢性の場合はそれが不可能になる。

顔面神経走行

神経の走行は(上記)、骨の中の狭いトンネル)を通り茎乳突孔を出で、表情を作る筋肉に分布しますが、なんらかの原因(ウイルス感染等)で腫脹すると、管中で容易に圧迫され麻痺をきたします。近年では、その原因が1型単純ヘルペスウイルスの感染説が有力とされています。
(文光堂 解剖学アトラス参照)

一番上へ移動

inserted by FC2 system