三叉神経痛に起因する顔面痛以外の原因・症状・治療法等 について

三叉神経痛は、顔発作性の激痛でありますが、この章では、三叉神経に起因する顔面痛以外の原因・症状・治療法等 について解説致します。

顔の痛み

非定型顔面痛

原因とされる器質的ならび機能的な疾患が認められない顔面の痛みであります。

痛みの特徴は、深在性・持続性 の痛みであり、疼くような、締め付けられるような痛みであります。

原因は不明で、痛む部位は額(おでこ)やほほ(頬部)・目の奥などであります。

知覚麻痺は見られないものの、しびれ感や温感などの異常を伴う場合も存在します。

食事や会話などでは誘発されませんが、抑うつ・ヒステリー などの心理的傾向を示す患者が多く、その痛みからQOLの低下をきたしやすく、また、他人から容易に理解を得られない点も心理的要因を 増幅させる原因ともなっております。

一般的な治療は、星状神経節ブロック注射・抗うつ薬・抗不安薬・心理療法が中心となります。

その他、鍼灸治療漢方薬治療なども有効とされておりますが、心理的な要因を多分に含んでいると考えられますので、痛みや苦痛をを十分に理解してもらえる医師や治療家の選別が必要であります。

舌咽神経痛

女性に多く発症する疾患で、50歳以上に多いとされております。

原因は不明とされておりますが、主な原因として腫瘍や椎骨脳底動脈系(小脳橋角部)による舌咽神経の圧迫であります。

症状は発作性の鋭い痛みで、咽頭・舌の付け根・耳の奥・耳の後ろなどに現われます。物を飲み込み(嚥下時)には高い確率で痛みが誘発されます。
また、近接する迷走神経の障害も合併すると、不整脈や除脈など見られる場合もあります。

三叉神経痛と識別する点は、睡眠時に発作が誘発されやすく、寛解期がある点であります、

診断にはMRI画像診断、のどの奥へ局所麻酔する事により発作が治まればほぼ確実であるとされます。

一般的な治療は、カルバマゼピンの内服、のどの奥へのブロック注射(舌咽神経ブロック)などでありますが、痛みが再発するようであれば、開頭手術を行い、舌咽神経を圧迫している血管を移動させ舌咽神経に当たらないように施されます。

僅かの確率ですが副作用(、顔面のしびれ、顔面の筋力低下、複視、麻痺)などもあるとされますので、信頼出来る医師への相談も不可欠でります。

副鼻腔炎

前頭洞病変では、おでこ・目の周り、上顎洞病変では、ほほ(頬部)頬部骨洞や蝶形骨病変では、鼻根部や目の奥などに 痛みを感じます。

この4つの顔の骨の中にある空洞はいずれも鼻の中とつながっており、この何れかに急性・慢性の炎症が生じれば、その空洞病変に近い部位 に顔面痛をきたします。
また、副鼻腔の腫瘍でも顔面痛をきたしますので、耳鼻咽喉科での根治が必要であります。

顎関節症

女性に多い疾患であり、発症年齢は30~40歳代に多く、10代後半から20歳代にもみられます。片側性や両側性の場合もあり、 開口障害をきたしたり、開口や閉口時に痛みをきたしたりします。

(アゴが痛い・口が開きにくい・口を開けると音がするなど)痛みは、顎関節を中心に顔面や頭頚部などにも及ぶ場合があります。

痛みを誘発する原因には、食事・冷風・不安等があげられます。

随伴症状として 肩こりや・耳鳴り・めまいなどがあります。

従来は噛み合わせが悪い事や、炎症によるものが主な原因と考えられておりましたが、現在では 顎関節や顎関節周辺の筋肉・神経系(精神的なストレス)の障害などの複合的な要因が発症の原因であるとされております。

一般的な治療は 顎関節の安静を保つ(硬いものなど食さない)事や、消炎鎮痛剤・筋弛緩剤・マウスピース装着・電気刺激・超音波などであります。

その他、 鍼灸治療も有効であります。

トロサハント症候群

海綿静脈洞・上眼窩裂に生じる肉芽腫であります。

発症年齢は約40歳であり性差はないとされます。

症状は片側の眼の奥ならびに眼窩周辺に痛み、瞼が垂れ、物が二重に見える、持続性の痛みを生じて、動眼神経、外転神経、滑車神経、三叉神経(第一枝)が傷害されます。

診断はMRIにて腫瘤が発見、上眼静脈の狭窄や海綿静脈洞の造影不良が認められれば確定されます。

治療はステロイド(副腎皮質ステロイドホルモン)が著効を示すとされます。

反射性交感神経性ジストロフィー

後遺症による外科手術後・歯科治療後・頭頚部の外傷などに起因する顔面痛であります。

交感神経系が正常に機能しないために発症すると考えられています。

一般的な治療は、頚部交感神経ブロック注射や消炎鎮痛剤の服用であります。

一番上へ移動

inserted by FC2 system