水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルスが原因で発症します。

ハント症候群とは水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルスが顔面神経やその周辺に感染して発症する病気です。

発症すると、耳介や外耳道に神経痛のような鈍痛が現われ、数日の内に耳介や外耳道に発赤や・かゆみを伴う水疱が出現し、この水泡は 、口の中かや舌にも見られる場合も存在します。

このような典型的な症状は出現せず、耳の奥の痛みや耳の周辺の痛みしか出現しない場合も 存在し、このため水泡を伴わずに顔面神経麻痺が発症した場合は、症状からはハント症候群とbell麻痺を識別が容易でなくなります。

血液検査によって水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価の上昇により判断されますが、全てに抗体価の上昇がみられない場合もあるので、識別が困難だとされる原因です

初期症状として後頭神経痛の様な症状を呈する場合や、耳の聞こえが悪くなったり、耳鳴りがしたり、ふらつきやめまいが生じることもあります。
また、麻痺と同じ側の涙の分泌低下、味覚の低下や音が割れるように聞こえたり、大きく響くように聞こえたりと聴覚過敏になったりもするのです。また、聴神経だけでな く三叉神経や舌因神経にも影響が波及すれば、顔の痛みや、食べ物などを飲み込む時に喉に違和感や痛みを伴う場合も考えられる症状の一つです。

(耳の痛み・難聴・めまい等)・(耳介・外耳道周辺の水泡)・末梢性顔面神経麻痺の三つが揃えば典型的であるとされます。

つまり、顔面神経にヘルペス が感染する事にが原因で発症するのですが、顔面神経の経路は聴神経(前庭神経:平衡感覚をつかさどる 蝸牛神経:聴覚をつかさどる)と同じ内耳孔 から側頭骨に進入し、互いに近接しているため、聴神経(蝸牛神経及び前庭神経)も容易に感染の影響を受けやすく、その為、耳鳴り・難聴・めまい・平衡障害・眼振・悪心嘔吐などの症状を呈す場合も。

治療法

治療法は通常、抗ウイルス薬(アシクロビル製剤、バラシクロビル製剤等)を発症初期(発症から約3~4日以内)に投与すれば回復が早いとされております。

神経周辺の炎症を抑制するためにステロイド(副腎皮質ステロイドホルモン)の投与も有効であるとされるが、ステロイドの投与については賛否両論があります。

(これはステロイド投与により、免疫系が抑制され、逆にウイルスを増殖させるとの見解です。)

その他、末梢血管拡張薬・血流改善薬・神経代謝賦活薬・ビタミン剤・漢方・抗めまい薬なども投与される場合も。
また、理学療法として顔面マッサージも有効であります。

耳鳴り・難聴・平衡障害・めまい・眼振などの程度は、神経の損傷度合いや個人差もありますが、めまいについては回転性のめまいが多いとの報告です。

これらの症状は約2~3週間で消失しますが、稀に前庭神経炎(注1)と同様の症状を呈する場合も存在し、この場合は数日間起き上がる事も出来なく、めまいやふらつきなどの症状が消失(慣れるまで)半年以上かかる場合や、後遺症として完全に消失しない場合も一部の患者様にはあるのです。

また、難聴、耳鳴り、顔面神経麻痺は、症状が重く現われたケースほど、回復は難しいと言はれており、通常は2~3ヶ月で回復しますが、その回復に半年~1年程度も要する事もあります。

ハント症候群はベル麻痺に比べ予後は良くない場合が多く、不完全麻痺等の後遺症を残す確率も高いとされております。

なお、水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルスは体内に潜み、体力の低下時、抵抗力が衰えた時に増殖し、発症する特徴があるので、再発を 防ぐ上でもストレス・疲労・睡眠不足を避け、免疫力を維持しておく事も大切であります。

※遺伝子を構成している核酸には、アデニン・グアニン・チミン・シトシンの四種類があって、これらの組み合わせによって遺伝子の情報が決定されます。その中でも、単純ヘルペス・水痘・帯状疱疹ヘルペスは、グアニンを主に好み、これを捕食して増殖していきます。

このグアニンに似た構造の物質を、ヘルペスウイルスに食べさせ、増殖を抑制するのが抗ウイルス薬(アシクロビル・バラシクロビル)です。

(注1)前庭神経炎:平衡感覚をつかさどる前庭神経に、何らかの原因で炎症が生じ、平衡感覚の伝達処理に支障が発生し、激しい回転性のめまいが現われる病気です。

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