bell麻痺は末梢性顔面神経麻痺の70%以上を占め、大半の例で急性突発性に発症します。

この名称は、この疾患を解明したサー・チャールズ・ベルにちなんで命名されたものす。

年間発症率は人口10万人に対して25人程であり、男女差はなく40歳代がピークであり 小児には少なく、成年期から老年期にかけて頻度が高い疾患です。

電気生理学的検査で顔面神経の伝導性が保たれている例では90%が完全回復するとの報告もあります。

予後不良となる要因は、高齢者、高血圧,味覚障害,耳以外の痛み,顔面筋の完全麻原因などがあげられます。

原因は不明であるが、誘因としては寒冷刺激、疲労の蓄積、炎症、上気道炎、副鼻腔炎、糖尿病、ストレスの増幅なも複雑に絡んでいると予測できます。

1型単純ヘルペス感染による顔面神経障害の病理は、神経浮腫と炎症細胞浸潤、そして脱髄が主体であるが一部軸索変性が混在すると考えられるています。
また、神経炎によって生じる浮腫は顔面神経管内で神経の絞扼と虚血を生じ二次的に神経損傷を生じるのです。

主な原因は、1型単純ヘルペスウイルスによるウイルス感染説が有力視されておりますが、まだまだ未解明な部分も多く、その分野の研究や議論の余地を残しているのも事実です。

その他のウイルス説では、サイトロメガロ、ムンプス、帯状疱疹ヘルペス、EBなどが上げられます。

一方、虚血説では、何らかの原因により神経栄養血管の攣縮が生じて、虚血と浮腫によりマヒが生じると言うはれ、症状は急性で2~3日程度で完成します。

予兆とし数日から数時間前に顔面に違和感、重い感じがしたりする場合もあります。前頭筋のマヒによりおでこの皺寄せが困難になり、眼輪筋(目の周りの筋肉)のマヒにより兎眼が現われたりします。

口輪筋(口の周りの筋肉)のマヒにより閉口不全となり、飲食物がマヒ側の口からこぼれたり、まひ側に食べ物が溜まりやすくなったりも。

また。口笛も吹けなくなったりします。これらの表情筋の運動障害の他に障害された部によって様々な症状を呈する(症状参照)ベル麻痺の治療は、早期の段階でステロイド(副腎皮質ホルモン)の投与が科学的にも有効であると示唆されております。

ステロイドや抗ウイルス薬治療のエビデンス

予後良好で自然治癒が期待できる疾患である事が知られております。治療を全くせずとも70%以上で完全な回復が得られたとのデータがあります。

psitersen(1982年)、上記のように自然治癒が期待できる疾患であるが、行われた治療対しての効果判定が極めて困難であり、その治療の有効性を立証する場合においても評価は議論を残しております。

ramsey(2000年)は、回復は、「ステロイド(副腎皮質ホルモン)が機能の回復で統計学的に有意な改善を提供する」と結論をだしています。

抗ウイルス薬について、 抗ウイルス薬投与については、明確なエビデンスはなく、 2004 年のCochran Reviewでも抗ウイルス薬の有効性は示されていないとされております。

さらにベル 麻痺に対するアクシロビルの単独の効果は否定的であり、プレドニゾロン単独投与の方がアクシロビル単独投与よりも有意に寛解率が高いことが示されていまさす。

一方でアクシロビルとプレドニゾロン の併用がプレドニン単独と比較して有意に寛解率を増加させることが報告もあり、最近ではアクシロビルよりも、さらに帯状疱疹の治療にも効果的なバラシクロビルの使用が推薦されております。

バラクシクロビルとステロイド(副腎皮質ホルモン)の併用の有効性も報告されていますが、併用による著明な効果は見られないとの報告もあります。

ランダム化二重盲検プラセボ対照研究においては完全及び重度麻痺に対してプレドニゾロンとバラシクロビルの併用がプレドニン単独投与よりも寛解率が有意に高いことが近年報告されています。

bell麻痺の原因として1型単純ヘルペスウイルスが注目されていることも併せて、急性期治療としてステロイド(副腎皮質ホルモン)との併用で抗ウイルス薬を使用することが推奨されています。

ただし軽症例に対する抗ウイルス薬単独の使用を積極的に支持する研究はなく、抗ウイルス薬の有効性に関する明確なエビデンスがないことから、中等症以上において副腎皮質ホルモンとの併用投与が望ましいと考えられ、治療開始時期に関しては発症3日以内が理想であるのですが、発症10日以内でも有効であることが示唆されております。

中等症以上のbell麻痺に対してはプレドニゾロンとバラシクロビルの併用が(約10日間)が理想との報告も。

最近ではヘルペス感染説を支持する医師も多く、書籍やマスコミなどでもそれについて詳細に記載されたもの見受けられます、
又、隣接する内耳神経の障害で発症する、耳鳴りやめまい・突発性難聴などもヘルペスウイルスを有力視され、積極的に抗ウイルス薬を投与し効果をあげられている医師の報告も存在するのですが、学会等では未評価な部分もあり、その研究の余地を残しているのも事実であります。

しかし、現在ではベル麻痺の原因はヘルペスウイルスであると特定されるようになってきてます。

近年では、bell麻痺治療においても、抗ウイルス薬を初期から投与するのが一般的な方法となっております。

ステロイドの併用については、抗ウイルス薬と同時または、投与時期をずらす事により、免疫力を落とさずに治癒に導けるとの医師の見解もあるようで、まだまだ議論・研究の余地を残しているのが現状です。

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