自然治癒力を引き出す東洋医学

鍼治療

一般的な治療法は西洋医学を主体とする投薬が中心なのですが、予後の悪い例も存在しているのが現状です。こうした状況下 で鍼灸をする場合、侵襲性や副作用等も殆どない安全性の高い手法として選択されています。

東洋医学の考え

顔面麻痺について東洋医学では「口眼歪斜」・「口僻」と言はれ「中風」の範疇に属し、これは口や目が歪み閉じる事が出来なく なるなどの症状に由来し、適用と考えられているのが、(ベル麻痺ハント症候群)などです。

東洋医学的な病証(中医学)

中医学での解説。

(注1)中医学の弁証は「四診」により集められて情報から、八綱・臓腑・病邪・気血・経絡弁証等を照合し、病状を判断・分析・識別し証をたてる。

八綱弁証:寒熱:熱証であるか、寒証か身体の陰陽の平衡状態を識別する。

虚実:正と邪の盛衰の識別を判定、正気が不足していれば虚証 として現われ、邪気が盛んであれば実証として現われる。

表裏:表裏とは病変部位ならびに病勢を把握します。皮毛などの病変の浅い場所にあるものを表証、臓腑などの部位が深いところのものが裏証です。

陰陽:陰陽は八綱を総括した概念です。

陰証の属性には、寒・裏・虚証 とし、陽証の属性には、熱・表・実証。これらの診断から得られた情報から証立てます。(「取穴ツボ」を決定)。

はりで取穴される主なツボを下記図に記載。

ツボマッサージの方法は←をクリック

顔面のツボ

下記以外に手・足のツボを用い適宜、ハリ・お灸・或いは通電療法などを選択(注2)

エビデンス

治療に関する報告は比較的に多く、方法も様々で、例え同じようなツボを使用しても効果には差異が生じている。

一部の報告では、通電にお灸、赤外線照射を加えると有効率は高いと考えられ、通電が患部の筋肉を等しく刺激して収縮マッサージしてくれる効果があり、お灸は血液循環を促進するとされる、一方では通電は最も厄介な後遺症と考えられる病的共同運動を助長するため禁止とされている。

逆に、この最も厄介な後遺症の病的共同運動に鍼灸が有効であるとの報告や、通電が回復を促進するとの報告あるようですが、結論が明確でなく曖昧な点もあり鍼灸治療の効果については十分なエビデンスをもって推察する事は困難であります。

元来より、自然治癒の期待出来る疾患である事が広く知られており、データの成績だけでは安易に 判断しかねるのが実情です。つまり、それが鍼により治癒したのか、全く無関係に治癒したのか、或いはその効果により、治癒期間が短縮されたかどうかの判定が困難であるからに他なりませんが、代表的治療法(ステロイド・神経代謝賦活薬・血流改善薬等)を鑑みれば、針灸にも血流改善・消炎や筋萎縮・拘縮を防ぐ効果があり、選択は有効であると示唆されます。

現実的に治療家の経験と客観的な判断に 委ねるのが現状なのです。顔面麻痺における針灸の報告は多いものの、まとまった研究報告は乏しいく 中国文献でのmetaanalysis で有効とするに足りる報告はなく、よ り厳密な比較試験が必要であるとされており、Cochrane Review で は治験データ自体が不十分で、結論を導くのは現状では困難としています。

インフォームドコンセプト

患者さんの多くが、保険医療機関における一般的な治療を施していると推測されますが、一部には鍼灸を第一選択と考えられる患者様も稀に存在し、この場合は、麻痺を来たす他の疾患の可能性も少数ですが推察されるので、まずは保険医療機関(耳鼻咽喉科・神経内科)による 適切な診断を受けてもらい、現在最も有効とされているのはステロイドや抗ウイルス薬である事実を提供し、また、治療における鍼灸の併用を、主治医へ促してくれる治療家を選別する事であります。

※近年ではベル麻痺の原因もヘルペスだと特定されるとうになっえてきています。

ステロイド・SGB(星状神経ブロック)などは鍼灸に対して注意が必要な場合があります。

医師に比べ鍼灸師は患者に接触する時間も長い分、患者の身体的な苦痛や先行きの不安を和らげるのも治療の一つでありますので、大半の末梢性麻痺は、何もしなくても治癒する確率は高いが、一部のベル 麻痺やハント症候群などでは治療が長期する事を施術前に十分説明してくれる

使用するツボによっては違和感が生じ数日間残存する場合も考えられるが、後遺症は殆どない、顔は内出血を発生しやすく、特に女性の場合などは、美容上一時的にが問題を生じる場合もある、どのような効果や副作用があるか、また、予後や自宅で出来うる対策など説明してくれるかなども重要な要素でもあります。

※客観的で冷静な判断が出来る 鍼灸師で治すことにしましょう。

私のまひ体験をご紹介します。

注1:診断手法には様々なものが存在します、手技・流派・使用する鍼の太さ・長さ・置鍼・使用の本数・使用するツボ等に違いがあり、上記図は一般的に用いられていツボ。
注2:通電には賛否両論存在し、漫然と通電を用いる事により病的共同運動の発生を助長しかねないとの見解です、受診される先生と十分にご相談下さい、また評価方法にて症状の進行具合をチェックしましょう。

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